RoomClip住文化研究所、家の中の掃除に関するトレンド調査レポートを発表

住生活の領域に特化した日本最大級のソーシャルプラットフォーム「RoomClip(ルームクリップ)」を運営するルームクリップ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 兼 代表執行役員CEO :髙重 正彦、以下 ルームクリップ)は、2021年11月25日(木)、「RoomClip住文化研究所」から第7回調査レポート「価値観の再構築へ。現代のライフスタイルに最適化していく「掃除」の習慣と、住まいづくりへの影響」を発表いたします。

レポート全編: https://lab.roomclip.jp/contents/cleaning/

「RoomClip住文化研究所」とは?

「RoomClip住文化研究所」は、RoomClipに投稿された膨大な写真やコメント・タグなどの実例データと、検索や閲覧などの行動データ、ユーザーアンケート・インタビューなどを基に、住まい・暮らし領域のトレンドや消費性向などについて研究・発表するプロジェクトです。


新型コロナウイルス感染症の世界的な流行から1年以上が経ち、人々の生活・暮らしが大きく変わりつつある今、住まいにも大きな変化が押し寄せています。先日、長らく続いた緊急事態宣言が全国的に解除され、徐々に街にも人が戻りつつありますが、生活様式がコロナ以前に戻ることは想定しづらく、コロナ後のいわゆる「新しい生活様式、ニューノーマル」は今後さらに定着していくことが予想されます。

そのような社会背景の中で、暮らしはどのような変化をしているのか、RoomClipに投稿された写真や行動データをもとに、第7回目のレポートを発表いたします。

※メディアの皆様
レポート内で紹介している各種データや写真のご提供や、代表事例となるユーザーのご紹介なども可能です。ご要望は、レポートの最後に記載しております広報担当までご連絡ください。

価値観の再構築へ。現代のライフスタイルに最適化していく「掃除」の習慣と、住まいづくりへの影響

暮らしの中で不可欠な家事の一つ、「掃除」。子供の頃から正しい雑巾の使い方を学校で学んだり、伝統的に「大掃除」という慣習があったりと、日本ならではの価値観と深い関わりのある家事でもあります。現代ではコードレス掃除機やロボット掃除機などの進化した掃除家電も市場に多く出回り、多くの家庭においてその在り方や手法は定着しているように思えます。ところが、RoomClipのデータが示したのは、2019年ごろから「掃除」に関するデータが大きく変化しているということです。そこから見えてきたのは、これまで「そういうもの」だと思っていた掃除の概念が再構築されていく様子でした。

今回のレポートは「掃除」に起きている変化を「頻度の変化」「効率化への探求」「環境の整備」という3つのキーワードとともに紐解いていきます。

<トピックス>

1:「ポスト映え」と、掃除頻度の分散化
2:「時短」や「自動化」がキーに。効率化の探求
3:さらなる効率化に向けた、環境整備へ。求められるのは「掃除のしやすい家」

1:「ポスト映え」と、掃除頻度の分散化

まず注目したのは、2016年から「掃除」周辺の投稿が顕著に増えているということでした。

上のグラフは、「掃除」のタグが付いた投稿率の年推移を表したものです。2016年から5年で2.2倍増加し、また、「掃除」が含まれるタグの種類(例:「小掃除」「夏の大掃除」「お掃除記録」等)に関しては2016年から2017年の1年間で491種類も増えていることがわかります。この、「掃除関連タグの種類」はその後も伸長し、2020年はコロナの影響もあってか、前年から飛躍的に伸びています。

さらに調査を進め、「掃除」というキーワードの検索水準を調べてみると、非常に興味深い結果がわかりました。

2018年までは年末に集中していた「掃除」というキーワードの検索水準が、2019年ごろから、なだらかながらも分散するようになっていたのです。つまり、「掃除」に注目するタイミングが「大掃除」という限定的な期間からシフトし、日常でも模索や改善を求める動きが見て取れるというわけです。「汚れたら掃除する」から、「汚れないために掃除の頻度を分散させる」ことが、今の掃除方法のトレンドといえます。

この背景には、「インスタ映え」という価値観の収束が2017年ごろに起きたことが挙げられます。第5回のレポートで、2017年以降をSNSにおける「ポスト映え」の時代とし、他者の視線や評価よりも、自身の心地よさが重要視されるようになったことをお伝えしました。そんな流れの中で、2017年ごろのSNSでは、暮らし分野のアーリーアダプター層による「暮らしのありのままの姿を伝える」ことが進み、これまで表に出ることが少なかった「掃除」に関する情報が多く発信されるようになりました。
汚れを溜めないための「小掃除」や、酵素系洗剤などを使った「放置掃除」など、一回の掃除の手間をなるべくローコストに抑える「◯◯掃除」から、サッと掃除できるための収納アイデアやそれを実現するためのプチDIYなど、幅広いノウハウや情報が共有されました。2019年ごろにはそれらの情報が定着し、見ていた側も実践に動き出し始めたことが、「検索水準の伸び」という形で現れたのではないかと考えます。

2:「時短」や「自動化」がキーに。効率化の探求

頻度が増加すると求められるのは「効率化」です。家事において効率化の代名詞ともいえる「時短」は、暮らしのシーンにおいては主に「時短レシピ」をはじめとした、料理にまつわる人気キーワードでした。

RoomClipのデータで、「時短」を含むタグに併用されたタグの、投稿数の年次ランキングを比較してみても、2017年から2019年までは「キッチン」が1位と2位を占めていました。ところが2020年になると、1位の「キッチン」に次いで2位に「掃除」がランクイン。2021年には順位が逆転し、1位になっていることがわかります。

掃除の効率化について、別の角度からも調査をしてみました。上のグラフは、掃除にまつわる主要アイテムを「掃除日用品(フロアワイパーなど)」「ロボット掃除機」「スティック掃除機(海外と国内)」に分け、それぞれの主要ブランドの投稿水準伸び率を、2016年を起点に年次で比較したものです。2016年から2017年の1年間は全て上昇しますが、その後「スティック掃除機」の伸び率は鈍化。一方、フロアワイパーなどの「掃除日用品」と「ロボット掃除機」は2020年には2016年の4倍ほどと、大きく伸長していることがわかります。

気になった時にササッと掃除ができる掃除日用品や、ボタンひとつで面倒な掃除機がけをしてくれるロボット掃除機を活用して、「効率化と自動化」を実現しようと模索する生活者の行動が浮き彫りとなりました。

3:さらなる効率化に向けた、環境整備へ。求められるのは「掃除のしやすい家」

これまでの調査結果から、心地よく暮らすための基盤となる「整った家」を無理なく実現するために、「掃除頻度の分散化と効率・自動化」が求められていることが分かりました。次に、「掃除」というキーワードを、RoomClipユーザーがどういう文脈で使用しているのかを見てみました。

上のグラフは、「掃除」を含むタグの投稿数のランキングを年次で比較したものです。冒頭でも述べた通り、2019年までは「掃除」の中心的な話題は「大掃除」が主だったことが、このグラフでもわかります。ところが2017年ごろに「掃除しやすく」というタグが登場。2018年には「掃除しやすい家」もランクインし、2020年になると「大掃除」を抜いて首位をマークしています。掃除の頻度が増加し、日々の掃除の見直しが進む中で、掃除をしやすい環境づくりが関心の高いテーマになっていることがわかります。最後に、「掃除しやすい家」を目指した環境づくりとして、暮らしのコミュニティ内で注目されるキーワードをいくつかご紹介します。

○浮かせる収納・移動可能
掃除をしやすく、より効率的に行うため、あらゆるものを「浮かせる」「移動可能にする」ことが一部の間で広がっています。特に、汚れが溜まると掃除が厄介な水回りでの実例が顕著です。洗面所のコップや歯ブラシ、お風呂場のシャンプーやボディソープなどのボトル類で特によく活用されています。また、「置かない」ためのアイデアとしては移動可能にすることも人気です。ワゴンや平台車の活用が進んでいて、中には家具ごと平台車に設置し、掃除をしやすくしている例もあります。

○ロボット掃除機に配慮した家づくり
ロボット掃除機を最大限活用するための工夫が進んでいます。例えば、ソファや棚、ベッドなどの家具を選ぶ際に、ロボット掃除機の動きを妨げないことを選定条件にすることなどが挙げられます。また、ロボット掃除機の設置場所は通称「基地」と呼ばれ話題になりやすく、RoomClipでもノウハウやアイデアが多く共有されています。

○掃除がしやすい住宅設備
リノベーションや新築など住宅づくりの現場では、建具や設備の選択をする際に「掃除のしやすさ」が重要視される場面も多く見受けられます。ソファや棚などの家具を作り付けにしたり、壁付けのトイレを設置したり、ホコリの乗らない巾木を選んだりなどが挙げられます。

―まとめ―
SNSにおける「映え」の収束は、暮らしのあらゆる側面をフルオープンにする流れをつくりました。それにより、長年「そういうもの」だと思っていた暮らしにまつわるものの多くが、現代の多様な価値観やライフスタイルとは合っていないことが顕在化。「在り方・やり方・時間のかけ方」のすべてが抜本的に見直されるようになった代表的な例が、掃除なのです。2020年以降、コロナ禍によっておうち時間が増えたことでこの改善を目指す活動は加速し、より幅広い層に注目されるようになりました。「掃除」の新しい価値観の定着は今後、住宅設備の設計にも大きく影響していくことでしょう。

■調査レポートについて

今回のプレスリリースは、調査レポートの抜粋となっております。 調査結果のすべて、およびユーザーの実例写真は、「RoomClip住文化研究所」公式サイトから見ることができます。

価値観の再構築へ。現代のライフスタイルに最適化していく「掃除」の習慣と、住まいづくりへの影響
https://lab.roomclip.jp/contents/cleaning/

■RoomClipについて

家具や家電、雑貨などインテリアの写真を投稿・閲覧できる、住生活の領域に特化した日本最大級のソーシャルプラットフォームです。スマートフォンアプリとインターネットのウェブサイトを展開しています。 現在月間ユーザー数は600万人、写真枚数は500万枚を超えます。RoomClipは日本で最も「実際に人が生活している部屋の写真とデータ」が集まっているサービスです。雑誌やテレビなど年間に100以上の媒体でRoomClipユーザーが紹介されています。

■本リリースに関する問い合わせ先

ルームクリップ株式会社 広報
お問い合わせ: https://corp.roomclip.jp/contact