住生活の領域に特化した日本最大級のソーシャルプラットフォーム「RoomClip(ルームクリップ)」を運営するルームクリップ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 兼 代表執行役員CEO :髙重 正彦、以下 ルームクリップ)は、2021年9月22日(水)、「RoomClip住文化研究所」から第5回調査レポート「DIYの中身に変化!ビッグデータから見えたトレンド変遷」を発表いたします。
レポート全編: https://lab.roomclip.jp/contents/diy/
「RoomClip住文化研究所」は、RoomClipに投稿された膨大な写真やコメント・タグなどの実例データと、検索や閲覧などの行動データ、ユーザーアンケート・インタビューなどを基に、住まい・暮らし領域のトレンドや消費性向などについて研究・発表するプロジェクトです。
より住みやすく、より自分らしく暮らすための手段としてポピュラーな「DIY」や「リメイク」。近年では、「DIYブーム」という話題を見聞きするようになったり、「100均DIY」や「DIY女子」などのトレンドワードも生まれています。
そんな広く知られる「DIY」ですが、その目的やトレンドは変化をしていることが、ユーザーの投稿データや行動からわかりました。今回は、2015年から2020年までの間で起きている「DIY」の変遷について、調査結果をレポートします。
1. 実は「ブーム」なわけではない?!DIY関連の投稿が占める割合は定着
2. 年度別保存数ランキングから見る、「参考にされてるDIY」の変遷
3. 投稿データから見る「ひと段落したDIY」と「伸びてるDIY」
RoomClipは、「日常の創造性を応援する」をその理念として掲げています。住空間をより良い状態にアップデートさせるためのDIYやリメイクは、まさにユーザーが発揮する「日常の創造性」そのもの。世間的にはこの数年特に注目が集まっているように見えるDIYですが、実際の暮らしのコミュニティではどんな動きがあったのかを見ていきます。
まず、「DIY」というキーワードの1年間の検索率を見てみると、2020年は2015年の3.1倍も伸長していることがわかりました。第1回目のレポートで紹介した、「2020年にコロナがきっかけで始めた/増えたこと」に関するユーザーアンケートでDIYが5位にランクインしたという結果と照らし合わせてみても、2020年のDIYへの注目に関してはコロナの影響が大きいということが言えるでしょう。
一方で、DIY関連タグがつけられた投稿は、RoomClip全体の投稿において常に2〜3割を占めており、住まい・暮らし領域において存在感が高いことがわかります。
上は、「DIY」「リメイク」「手作り」「ハンドメイド」のタグが付与された投稿率を2015年と2020年で比較した図です。2015年は、前回の調査レポートで紹介した通り、「映え」ブーム全盛期の頃です。理想的なインテリアスタイルを実現するための手段として多くのユーザーがDIYを取り入れたことなども影響し、全投稿の28.4%がDIY関連でした。インテリアスタイルのブームの落ち着きに伴って、投稿率はやや下がったものの、依然20%を超えていることがわかります。
住空間に特化したプラットフォームであるRoomClipにおいては、「ブーム」に関わらず、DIYが常に一定数の人の暮らしに取り入れられているといえます。
「DIYを暮らしに取り入れている人は、常に一定数いる」ということが前項からわかりましたが、ここからは、その実態に関してさらに掘り下げていきます。
RoomClipには、ユーザーがあとから見返すために写真を「保存する」機能があります。そこで「 DIY」タグが付与された全投稿から、保存されている投稿の上位5枚を2015年、2018年、2020年で比較してみたところ、非常に顕著な変化が見られました。
( 1位 ・ 2位 ) Room No.440666:makomi
( 3位 ) Room No.148605:KATSURA
( 4位 )Room No. 466795:koh
( 5位 )Room No.194059:sonamama
上は、2015年の保存数トップ5です。1・2位はいずれも同じユーザーによる投稿で、当時のトレンドスタイル「カフェ風インテリア」の必須アイテムとして人気を集めた、ショーケースをDIYするための設計図です。3位・4位はそれぞれテレビ台と本棚の制作事例、そして5位はレンガ風壁紙をDIYで貼った実例の投稿でした。いずれもインテリア要素が強く、自分らしいスタイルを演出するために行ったDIYの実例が並びました。
( 1位 )Room No.3005674:shoshosai ( 2位 )Room No.1345045:baken ( 3位 )Room No.328959:eriri81 ( 4位 )Room No. 357531:Ichico.178 ( 5位 ) Room No.451576:mitsu
2018年のトップ5は「棚」の写真が目立ちます。1位から4位までは、りんご箱や突っ張り式の収納システム、カラーボックスなど、身近なアイテムを活用し、やや不便だった場所をスタイリッシュかつ使いやすくするDIYの実例でした。5位は壁紙をDIYで貼った様子です。2015年のランキングで見られたような演出のためのDIYから、少しフォーカスがシフトしている様子が見られます。
( 1位 ・ 3位 )Room No.2364530:LUMIX ( 2位 )Room No.615663:akity ( 4位 )Room No. 68126:sachi ( 5位 )Room No.239942:coco
そして、2020年のトップ5です。すべてが「限られたスペースでの収納方法」にまつわるもの、という結果になりました。2015年や2018年に見られたようなインテリア要素や、演出を目的としたDIYの写真が1枚もないのが大きな特徴です。また、DIYが投稿されている場所も、1位がテレビ裏、2・3位は洗濯機の上、4位はキッチンと、いずれも目立たない場所だったことも興味深いポイントです。どれも「このアイテムで、こんなに便利になるんだ」と、見るものを驚かせる、効率的で便利なライフハック要素のある実例が並びました。
保存数から見えたDIYトレンドの変遷を、投稿数のデータからも調査していきます。調査にあたって、まずは2015年頃のインテリアトレンドと深く関わったアイテムをいくつかピックアップし、投稿水準の推移を見てみました。
2015年頃は、SNSにおける「映え」トレンドの影響を受けて、 RoomClipで様々なインテリアスタイルが人気を集めた時期でした。インテリアスタイルのトレンドは再現方法の共有が急速に広がることで大きなムーヴメントとなっていきます。「カフェ風インテリア」や「西海岸インテリア」、「男前インテリア」などがトレンドになった背景には、多くのユーザーがDIYを取り入れることでそれらのインテリアスタイルを実現したことが挙げられます。当時流行したインテリアスタイルをつくるためのキーアイテムだった「板壁」「すのこ」「リメ缶」のタグが付与された写真の投稿率を比べると、いずれも5年で大幅に減少していることがわかります。
2020年の上位保存数投稿を見ると、2015年や2018年で見られたような「何かを制作する」行為よりもう少し規模の小さい、アレンジのようなものがDIYとして捉えられていることがわかります。また、5枚中4枚がワイヤーネットを活用した投稿、2枚は洗面所での投稿だったことも特徴的でした。そこで「プチDIY」「洗面所DIY」「ワイヤーネット」の3つのタグをピックアップし、付与されている投稿率を年次で比較してみたところ、予想通り、いずれも5年間で大きく成長していました。特に、ワイヤーネットは8.3倍という顕著な伸長率です。ワイヤーネットはインテリアスタイルブームの頃も手に入りやすいDIY材料として人気でしたが、最近は暮らしをより便利にしてくれるアイテムとしての用途が目立ちます。
最後に、「伸びているDIY」について、どこでDIYされているのかに少し視線を変えてみると、興味深い動きが見られるエリアがありました。
これは、最初の項で紹介した「DIY関連のタグが付与されている投稿」が、家の中のどこでされているかを、場所&年代別トップ5で表したチャートです。「玄関/入り口」の順位が2015年から2020年の間に4位から2位にまで上昇しており、屋外付近のDIYが注目されていることがわかります。
そこで、屋外のDIYとして人気のある「ウッドデッキDIY」「ウッドフェンスDIY」「室外機カバー」のタグが付与されている写真の投稿率を見てみると、いずれも5年間で伸長していることがわかりました。住空間を家の中だけでなく、ベランダやテラス、庭などに拡張しているトレンドが伺えます。
今回の調査結果は、一部においてDIYの定義が、大きな変化や見た目を演出するための手段から、住みよくするための小さな工夫に変遷していることを示しています。「ポスト映え時代」と言われる今、住まいの中で改善したいものが「見た目」から「心地よさ」へシフトしていることは前回の調査結果の通りですが、DIYもその流れを汲んでいると考えられます。
暮らしの快適性は人によってその在り方や求めるものが異なるため、インテリアスタイルのように型にはめることが難しく、既製品を探してもピッタリあうものは見つかりづらいことが多いでしょう。心地よさが重視される今の暮らしのコミュニティ内では、これまで以上に「住空間をより快適にするためのアイデア」が強く求められていると言えそうです。
2020年の保存数上位の投稿で見られるDIYは、どれもカスタム性に優れ、さらに、不要になったら別の使い方ができる、あるいは簡単に分解できるという特徴が挙げられます。個々の家庭や暮らしのスタイルに合わせて自分らしくアレンジでき、不要になったら気軽にバラせる。そんな、効率的で無駄のないDIYが今、求められているのかもしれません。
今回のプレスリリースは、調査レポートの抜粋となっております。
調査結果のすべて、およびユーザーの実例写真は、「RoomClip住文化研究所」公式サイトから見ることができます。
DIYの中身に変化!ビッグデータから見えたトレンド変遷
https://lab.roomclip.jp/contents/diy/
家具や家電、雑貨などインテリアの写真を投稿・閲覧できる、住生活の領域に特化した日本最大級のソーシャルプラットフォームです。スマートフォンアプリとインターネットのウェブサイトを展開しています。 現在月間ユーザー数は600万人、写真枚数は500万枚を超えます。RoomClipは日本で最も「実際に人が生活している部屋の写真とデータ」が集まっているサービスです。雑誌やテレビなど年間に100以上の媒体でRoomClipユーザーが紹介されています。
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